「子ども1人を放置すると条例違反」に物申す!

埼玉県の「虐待防止条例改正案」が話題になっています。
この条例改正に対し、私、一言物申させていただきます!

この条例改正では、『罰則はないが、成人の「養護者」が3年生以下の子どもを
「住居やその他の場所に残したまま外出することその他の放置」を禁じ、
4~6年生については努力義務とする内容。県民には通報を義務づける』というもの。

この話を初めて聞いた時、なんとバカげた話だと感じました。
共働きの世帯のパパママもきっと私と同じことを感じたことでしょう。
この条例が可決されると
「子どもだけで公園で遊ばせたり登下校させたりする」
「100メートル先の近所の家に回覧板を届けるために一時外出する」
なんてことも条例違反になると言います。

確かに、そういう状況の際に幼い子どもを1人で放置しないことは理想的だと思います。
でも、実際のところ、それは不可能なことです。
こんな条例を考えた人が現実を理解していない証拠です。
ただでさえ、日本社会で今、働き手が不足している中、女性の社会進出が必要な時です。
共働き世帯は、今や夫婦のいる世帯の7割にまで到達しています。
シングルで子どもを育て養っている世帯なら尚更です。
その中で、子どもの登校時や公園で遊ぶ際にまで親がつきっきりの現状はとても難しいと思われます。
理想を掲げることは理解できますが、現状をきちんと認識した上で政策を考えるべきです。
子どもを1人で放置させないために、まずは環境づくりが大切です。

例えば、保育園や託児所、ベビーシッター、学童保育の充実、
送り迎えのサービスなどの費用サポートまで含めた拡充。
あるいは、子ども達だけでも安心して公園で遊べるような見守りサービスがあったり、
もっと言えば、そんな社会になってほしい。
ただ、子ども達だけで安心して遊べるほど安全な社会というのは、
変わりゆく日本社会の中で難しいことは理解しています。
だとすれば尚更、それに変わる環境づくりが必要なんです。
そこを全く進めていない中で、一方的に子どもを1人放置したら違反となる条例というのは、
日本社会の実情を全く理解していないと言っても過言ではありません。

加えて、この条例がもし可決されるとすると、
子どもの自立を阻んでしまうことにつながるだけでなく、
大抵の場合、非正規で働いている母に負担がいくことを危惧します。
働く時間を減らしたり、仕事ができなくなって、より生活が不自由になってしまいます。
これが本当に望む結果でしょうか?

もともとこの条例は、車の中に置き去りにされ、
死んでしまう子どもをなくすために作られたものだと聞きました。
これを防ぐための条例だとすれば、今回の改正は方向が少しずれていると感じます。
きちんと目的を理解し、そして確実に結果に結びつくための情報を整理し、
道のりを検討した上で、条例改正へと繋げてほしいと強く思います。

働くお母さん達が、どんな思いで子どもを1人で置いておくでしょうか?
1人で放置したくてしているわけではありません。
生活していくために、心の中で「ごめんね」って言いながら仕事に向かっているのです。
なぜそうせざるを得ないか。
政策を決める方達は、机上で物事を考えず、
もっと現状を調べ、知っておくべきだと思います。
より過ごしやすい社会になってほしいと思うのは、
政治家も一般市民も同じではあるんですけどね。

誰もがイキイキと輝ける社会の実現。
私が望む世界です。

シェアする