夫婦別姓を考える

夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法違反だとする裁判が、3月に始まるとの報道がありました。
過去にも同じ訴えの裁判が何度も起こっていますが、いずれも違法ではないという判断が出たそうです。
どうして日本だけ夫婦別姓が認められないのでしょうか?

経団連も、夫婦別姓を認めない今の制度はキャリア形成の妨げになる可能性があるとして、
「選択的夫婦別姓」の導入が必要だとして、政府への提言をまとめる方向だそうです。

姓を変更したことのない人は気づかないと思いますが、実はかなり面倒です。
昨日このニュースをテレビで見ていて必要な手続き等を伝えていましたが、
私が結婚した当時から20年近く経っており、
その当時よりもっと面倒なことが増えていることに驚きました。

運転免許証や保険証、パスポート、マイナンバーカード、クレジットカード、
保険、銀行口座などの名義変更手続きのほか、
現在は、モバイル決済やさまざまなアプリなどでの変更もあり、その手続きはさらに面倒になっています。

手続き上の問題だけではありません。
特に今、結婚後姓を変えている人の大部分はやはり女性です。
経団連が認めるように、キャリア形成の妨げになったり、
結婚、離婚時に他人に知られてしまうなどプライバシー侵害にもつながってしまいます。

日本の夫婦別姓を妨げているのが、1947年に全面改正された現在も続く民法と戸籍法です。
それから77年経過していて一部改正されていますが、
今回の夫婦別姓に関係する部分にはあたっていません。

日本は古くから「家」を大切に考えてきました。
そのため、結婚すると夫か妻のどちらかが今までの姓を捨て、
どちらかの家に入る、そんな制度が今も続く「イエ」制度なのです。
また別の姓にすると、家族の一体感が薄れるという考えも一部で根強く残っています。

でも今そんなに家族が一体感を持って過ごしているでしょうか?
現代の日本では、結婚せず生涯独身で生きる「おひとり様世帯」が増えていて、
2040年には3人に1人が単身世帯になるとも言われています。
「結婚や家族を持つこと」=「理想の生き方」だと考える人の数も少しずつ減少しているようです。

また危惧されているような、姓が変わると家族の一体感が薄れるというものも誤った考えだと思います。
実際私も結婚して姓が変わりましたが、家族との一体感が薄れることは一切ありません。
むしろ、これからの日本において、姓を変えなければいけないからという理由で
「結婚」という手段を取らずに、事実婚を選択する人が増えていくかもしれません。

私は、「結婚」も「事実婚」もご本人が選択して決めるのであれば、どちらでもよいと思っています。
どちらがよいとか悪いとかも判断できません。
結婚後に姓を変えるかどうかについては、やはり多くの人が言っているように
「選択的夫婦別姓」が認められればいいなと思っています。
姓を変えたい人は変えればいいと思うし、
変えたくない人は生まれ持った姓をそのまま使い続けられる仕組みになってほしいと思います。

今は本当に実際とかけ離れた古い制度の中で、
姓を主に変えさせられている女性にとって
生きづらく苦しい日本になっていると思います。

姓を変えたり、変えなかったりすることが、
その人の人生にとって不利になるわけでもなく、
ただの通過点になる日が1日も早く来るといいなと思っています。

 

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