新春スペシャルドラマ決定!「逃げ恥」に学ぶ、日本を取り巻く社会問題について

「逃げ恥」2021年新春スペシャルドラマ、放送決定!!

何を隠そう、2016年に放送されたTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」略して「逃げ恥」にはまって以来、大の星野源さんファンになった私は、昨日のこの発表に有頂天になりました。

このドラマは、皆さんご存じでしょうが、女性経験ゼロのまま30代後半になった「プロの独身」星野源さん扮する津崎平匡と、大学院を出てもどこにも就職できずに派遣で働く新垣結衣さん扮する森山みくりが契約結婚したことから始まるラブコメディです。

この進展しそうでなかなか進まない2人の関係に、このドラマは、視聴者の“ムズムズするところに、胸がキュンとする「ムズキュン」現象”を引き起こしてSNSを騒がせ、さらには星野源さんの「恋ダンス」と共に一大旋風が巻き起こりました。そんなドラマの中に、実は様々な社会問題が織り交ぜられていたことをご存じでしたか?

今日は、来春のスペシャルドラマ放送決定を記念して、当時取り上げられた社会問題が4年経過して何も変わっていないのか、あるいは少しは進歩したのか考えてみたいと思います。2016年から逃げ恥ファンの社会人の方、コロナ禍による再放送でファンになった学生の方も、一緒に現代の日本社会について考えてみましょう。

非正規雇用者の増加

ドラマ開始直後に、みくりは派遣切りにあってしまう訳ですが、2016年から4年が経過した今も、非正規雇用者数は増加しています。特に女性の非正規雇用者の割合は、男性に比べて高く、年齢別では35歳~64歳の間で特に男性との差が顕著になっています。

(出典;総務省「労働力調査」より)

さらに今年は、新型コロナウイルスの影響で打撃を受け、世界的に不況になっています。特に、女性の非正規雇用者が比較的多い宿泊や飲食業などのサービス業は打撃を受け、非正規雇用者はその影響を大きく受け、職を失っています。日本においても、全国で約6万人以上の人が新型コロナの影響により失業したと言われています。

4年が経ち、非正規雇用者を取り巻く環境は、よくなっていないばかりか、さらに悪化しているのが今の日本の状況です。

生涯未婚率の増加

「プロの独身」平匡のように結婚しない(未婚化)男性の数は30年前から急増しています。

50歳になるまで一度も結婚したことがない人の割合を「生涯未婚率」と言います。1970年の生涯未婚率は、男性1.7%、女性3.3%と結婚していない人はほとんどいない状況でしたが、最新のデータでは、男性23.4%、女性14.1%と大きく増加しています。

さらに、今後の予測によると、20年後の2040年には、男性は3割近く、女性は2割近くまで到達し、ますます少子化が進むと考えられています。

妊娠・出産にタイムリミットがあることや出生率減少の影響で、近年は「女性の未婚化」が問題視されています。その一方で、統計上は「男性」の方がより進んでいるのです。この男女の未婚率の高止まりは、今後の日本の労働力不足やさらなる少子高齢化への問題に拍車をかけそうです。

LGBTにみる差別問題と結婚観

ドラマの登場人物の中には、最後にゲイであることをカミングアウトする2人(古田新太さん扮する沼田さんと成田凌さん扮する梅原さん)が出てきます。日本ではなかなか進みづらいLGBTいわゆる性的マイノリティに対する問題もさりげなく取り上げられていました。

日本ではまだまだ課題が山積みであるこの問題も、少しずつですが変化が起こっています。性差を明確に決めつけてしまう学校の制服も、最近では女性がスカートではなくパンツタイプを選べるところも出てきました。企業や大学などのトイレの表示も誰でも使える「だれでもトイレ」や「みんなのトイレ」表示をしているところも増えつつあります。

しかしながら、多くの学校や職場においてLGBTへの認識は低いことが多く、人権侵害や差別的な言葉を受けたとするLGBTの方は少なくありません。結婚や社会保障においても法整備が整っていない状況です。

また、平匡とみくりが内緒でしていた事実婚ですが、近年は若い人からシニアに至るまで事実婚は増えてきています。

結婚までのプロセスが面倒だと感じたり、夫婦別姓を望む女性が事実婚を選択しているようです。シニアでは、お互いに子どもや親せきに配慮して再婚ではなく、事実婚を選ぶ人たちが増えているようです。

制度的にはまだまだ整備されていないことが多いですが、渋谷区から始まった同性カップルを婚姻と同等であると認める「自治体パートナーシップ制度」も今や47の自治体に広がっています。またつい先日、政府により事実婚のカップルに対しても不妊治療費の助成を認める検討も始まったようです。

このように時代が進むにつれて、年齢を超えて、そして性別を超えて結婚観も日々変化しています。昔からの固定概念が崩れ、自由が増える中、新しい価値観を受け入れられるよう、これからの日本に期待したいと思います。

まとめ

以上のように、「逃げ恥」でさりげなく描かれていた社会問題ですが、4年が経過してそれらの問題は一向に解決していません。そればかりか、ひどくなっている程です。

特に今年は、未曽有の新型コロナウイルスの影響で、日本だけでなく世界中に暗い影を落としています。来年1月には、この問題は少しはよい方向に向かっているのでしょうか?

スペシャルドラマでは、2019年から2020年の1年以上の二人の生活を描くそうです。きっとこのドラマは、コロナ禍で暗く静まりかえっている日本中に、明るく元気な二人の姿を届けてくれるに違いありません。

平匡さん、みくりさん、来年を心待ちにしています!

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