「タイパ(タイムパフォーマンス)」重視の先にどんな未来があるのか。

「タイパ(タイムパフォーマンス)」重視、いわゆる高速化社会は、若者を中心にかつてないほど進んでいる。
私自身も特に会社員時代は、いかにして「時短」をするかがテーマだったが、
2022年9月13日の日経新聞の記事を読んで、改めてその現状に驚いた。

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音楽鑑賞時間の短縮

Jポップのイントロが急激に短くなっていることは知っていた。
音楽配信のサブスクで、イントロをゆっくり聴いている余裕がないのだ。
サビや歌い出しを早く聴きたいらしい。

イントロクイズで盛り上がる世代の昭和生まれの私には、それがちっとも理解できない。
素晴らしいイントロがあってこそ、歌い始めまでの時間を
ワクワクした気持ちで待てるのではないか?
とはいえ、さほどイントロ0秒の曲を聴いていないのだから、
それでイントロ0秒の曲を非難することはできないけれど。
やっぱりイントロがない、もしくは短い曲ばかりでは味気ないのではないかと思ってしまう。

映画・ドラマなど動画鑑賞時間の短縮

うちの子ども達だけでなく、これは私もすることがあるが、
動画の再生スピードを1.25〜1.5倍に上げて再生すること。
私が再生速度を速める場合は、あまり見たくないものを再生しなくてはならない時。
本当に自分に必要なことは絶対に早送りしない。
でも倍速ジャパンの標準は1.25倍速らしい。
もっとすごい人では、ストーリーに関係なさそうな情景描写などは見ずに早送りするらしい。
それほど時間を無駄に使いたくないのだそう。

家事や調理の時間短縮

これは主婦である私としてはおおむね賛成ではあるが、
時短料理につながる調味料や半調理商品など、
食品メーカーにも負担が行っているらしい。

調理せずに、そして外出もせずに
自宅にいながら調理済みの料理を受け取ることのできる
ウーバーイーツなどの宅配サービスの広がりに、
コンビニもうかうかしてはいられないようだ。

家事を時短するための家電もたくさん発売されている。
そればかりか洗濯機と一緒に使ってさらなる時短につながる
洗剤や柔軟剤まであるというのだから驚きである。

私の感じたこと

サブスクでスキップされないように、イントロが短い曲をつくるアーティストたち。
どれも似たような曲になっていないだろうか?
他の曲との差別化や自分の作りたい曲になっているのだろうか?

みんなが好きな曲を追いかけるより、
自分が好きな曲ばかりを何度も聴く方が私は好きである。
ドラマや映画もいいとこ取りでは、味気ない。
それよりも情景描写やちょっとしたシーンが重要だったりしないのだろうか。
好きなドラマや映画も何度も観て、その度に印象が変わってまた好きになる。
私はそんな過ごし方がいい。

何より私は食いしん坊だ。
美味しいものを食べるのが好きだ。
ただ自分で作る時は、できるだけ手抜きして(時短して)美味しく作りたい。

だけど、やっぱりレストランで食べる、手間暇かけて作った料理はとても美味しい。
それは自宅では、自分では作れないし、食べられないものだ。
自分ができない、時間と手間をかけたからこそ、美味しく感じる意味もあるだろう。
だからこそ、ゆっくり時間をかけて味わいたい。
家族や気の合う友人とおしゃべりを楽しみながら。

倍速ニッポンの人たちは、時短した分の時間をどのように使いたいのだろうか?
動画を倍速で観て、余った時間でまた別の動画を早送りして観る。
ざっくりした内容を観て感動することがあるのだろうか?
いつまで経ってもあくせく時短して、一体何のために観ているのかとまで思ってしまう。

音楽も食事も同じ。
自分が大切にしたい時間はゆったり、のんびり過ごしたい。
今の若い人を見ていると、いつもせかせか動いていて
いつも何かをしていないと落ち着かないように見える。
何もしない時間も必要で大切だということに気づいてほしい。

時短するのは何のため?
浮いた時間で何をしたいの?
そんなに生き急ぐ必要はないんじゃない?
倍速ニッポンの未来はどこへ進んで行くんだろう?
私に見えてないだけで、実は浮いた時間で何かをのんびり楽しんでいるといいな…。

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